夏の空~彼の背中を追い掛けて~
「有り難う」
「それ、真弥が持ってて良いから」
「えっ!?良いの?」
「ん。真弥の傍に居られない間のお守り!さっ、後ろ乗って!!」
「うん♪」
ニヤケる顔を隠しながらスクーターの後ろに乗ると、ブルルルーと音を立ててそれは発進した。
紀香の家に着くと、まだ皆のバイクは止まっていた。
何だか部屋へ戻るのが恥ずかしい。
いかにもしてきました!って感じじゃない!?
「真弥、行くよ?」
「う…ん」
気にしているのは私だけのようで、俊ちゃんは軽い足取りで階段へ向かう。
だけど、気遣いは忘れていない。
「足元に気を付けろよ?」
「慌てなくて良いから」
私を先に、俊ちゃんは1·2段下からサポートをしながら上がってくれる。