夏の空~彼の背中を追い掛けて~
今からこんなに優しくされると、お腹がもっと大きくなった時はどうなるんだろう?
他にも色々と心配しちゃうのかな?
何でも俺がするって言って、甘やかされたりもする?
階段を上がるほんの僅かな時間に、私はまだ見ぬ未来を想像してしまった。
部屋の前へ辿り着くと、私の後ろに立つ俊ちゃんがドアを開けた。
その瞬間、皆の視線がこちらへと向く。
う゛っ……中へ入るには、かなり勇気が必要みたい。
と言うのも紀香と孝道君はベッド、弘晃君と隆明君はドアの前の床に座っていたから。
中々、1歩を踏み出せない私に気付き、弘晃君と隆明君は窓際へ移動し、俊ちゃんは立ち位置を私の前に代え、背に隠す。
そして後ろへ手を差し伸べ、私の手を引きながら中へ入ってくれた。
床に座っても、俊ちゃんは繋いだ手を離す事はない。
それ所か『体が冷えるから』と、自分の膝に座らせようとさえする。
「大丈夫だよ。ズボン履いて厚着もしてるから」
「でも、ずっと座ってたら絶対に冷える!」
「だからって…皆も居るし…恥ずかしいよ…」
小さな声で抗議すると、俊ちゃんは後ろからスッと私を包み、そのまま自分の方へ引き寄せる。
そして私を軽く持ち上げ、ヒョイッと膝に乗せた。
それだけで私の顔は真っ赤になり、頭が上げられなくなってしまった。