夏の空~彼の背中を追い掛けて~
「俊ちゃん、座布団を出して来るから、真弥を解放してあげたら?」
紀香がベッドから立ち上がると、俊ちゃんはそれを制止する。
「座布団は要らない。俺はこのままが良い」
う…嘘!?私ずっとこのまま!?
嬉しいけど、こう言う事は2人きりの時にして欲しいよ…。
「俊ちゃん、そのままじゃ真弥の顔が見れないよ?」
「うっ……ん」
紀香の言葉に、俊ちゃんは言い返せない。
さすが紀香!!
もう少し何か言って!!
そしたら私、膝から降りて俊ちゃんの顔が見られる!
「俺はずっとこうしていたいけど、真弥は嫌?」
耳元で囁かれ、私の顔は益々火照っていく。
「嫌なら止めるよ?」
惚れた弱味と言うか、俊ちゃんに『こうしていたい』と言われたら『嫌』とは言えない。
「い…嫌じゃないよ?」
「有り難う。Chu!」
頬に唇が軽く触れ、驚いて振り返ると、ほんの数センチと言う所に俊ちゃんの唇があり、ドドドドドッと鼓動が一気に駆け出す。