夏の空~彼の背中を追い掛けて~
俊ちゃんは不適な笑みを向けると、更に顔を近付けて来る。
私は条件反射で目を閉じた。
だけど唇が触れる感触は全くない。
そぉっと目を開けると俊ちゃんはニッと笑い、チュッと唇を啄んだ。
え゙っ!?
心の何処かでは、ちょっと期待してたのは事実だけど、皆の前でホントにする!?
私は驚きと動揺で、瞬きも忘れる程にフリーズした。
それを更に楽しむように私を腕の中に閉じ込め、俊ちゃんは甘くて深いキスをする。
「……んっ…」
すっかり酔いしれて、抗う事もアレコレ考える力もない。
私は、繰り返し繰り返し割って入ってくる俊ちゃんの愛に、ただただ夢中で応えた。
そこへ、孝道君が私達を我に返す。
「ゴホンッ…。俊ちゃん…ヤリたい盛りの俺らの前でするのは、勘弁してくれる?」
「ハァーッ…。仕方ないな…」
渋々唇を離した俊ちゃんは、溜め息を吐きながら抱き締めた腕も解き放つ。
「俺さ、俊ちゃんって女に対して、もっとクールなのかと思ってた」
うん、うん。
私も孝道君と同じ様に思ってた。
だからこんな時間を過ごせるなんて、嬉しさ半分驚き半分だよ。