夏の空~彼の背中を追い掛けて~


初めてのお泊まりも、紀香が家族に上手く振る舞ってくれたからこそ出来た事。



「紀香には凄く感謝してる。色々と助けてくれて有り難う」



本当は有り難うだけじゃ足りない。



だけど胸の中にある感謝の思いを伝える言葉は、やっぱり『有り難う』しか思い付かない。



だから結局、私は『有り難う』を伝えた。



「あっ…来た」



ほぼ時間通りに、見慣れた車が目の前に停車する。



「じゃぁね、紀香。本当に色々と有り難うね」



「うん♪気を付けて帰ってね」



「分かった」



車に乗り込み、紀香に手を振り始めると、父は会釈をして発車させた。



家に着くまで約30分掛かる。



その間に、俊ちゃんからのメッセージが届いた。



《キヲツケテカエレヨ》



《コンドハオレガイク》



《モウアイタクナッタ》



これは今まででは有り得なかった事だ。





< 265 / 354 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop