夏の空~彼の背中を追い掛けて~
初めてのお泊まりも、紀香が家族に上手く振る舞ってくれたからこそ出来た事。
「紀香には凄く感謝してる。色々と助けてくれて有り難う」
本当は有り難うだけじゃ足りない。
だけど胸の中にある感謝の思いを伝える言葉は、やっぱり『有り難う』しか思い付かない。
だから結局、私は『有り難う』を伝えた。
「あっ…来た」
ほぼ時間通りに、見慣れた車が目の前に停車する。
「じゃぁね、紀香。本当に色々と有り難うね」
「うん♪気を付けて帰ってね」
「分かった」
車に乗り込み、紀香に手を振り始めると、父は会釈をして発車させた。
家に着くまで約30分掛かる。
その間に、俊ちゃんからのメッセージが届いた。
《キヲツケテカエレヨ》
《コンドハオレガイク》
《モウアイタクナッタ》
これは今まででは有り得なかった事だ。