夏の空~彼の背中を追い掛けて~
分かれ道
翌日、帰りのホームルームが終わると、自動車学校へ行く為、クラスメイトとバス停へ向かう。
「ねぇねぇ直方さん!彼処」
「んっ?」
広川さんが指差す方向へ視線を移すと、バス停横の空き地に、嬉しい人の姿があった。
「俊ちゃん!?どうしたの!?」
「真弥に会いに来た」
「有り難う♪暫くは会えないと思ってたから、凄く嬉しい♪」
思いがけないサプライズに心と体が弾み出す。
「ちょっと、こっちに来て…」
人目を気にしてか、俊ちゃんは空き地の隅へ移動する。
そして私を建物の壁側へ立たせ、自分が盾になる位置へ立ち、吹き抜ける風から守ってくれる。
「寒くない?」
「うん。俊ちゃんが傍に居てくれるから、心まで暖かいよ♪」
嬉しさを隠しきれない顔で答えると、俊ちゃんは目を反らして呟いた。
「その顔、反則……」
「えっ?」
反則って何が?