夏の空~彼の背中を追い掛けて~
1時間目は17時から始まるが、授業を受けない者はここに集まり時間を潰す。
2時間目にしか授業が無い私も、暇潰しをする1人である。
「紀香、頑張ってね♪行ってらっしゃい」
「うん!行ってきます!」
休憩室の入口で授業へ向かう紀香を見送り、その後は残ったクラスメイトと談話する。
と言っても気心知れた紀香とは違い、付き合いはとても薄い。
だからどうしても、当たり障りのない会話になってしまう。
「アハハッ!それ面白い」
「へ~そうなんだぁ」
愛想笑いしたり相槌を打ったりしていると、休憩室のドアから○○工業の制服を着た人が数名入って来る。
何気に視線を向けると、見知った顔がそこにあった。
嘘!?何で!?
私は顔を隠すように体ごと窓際へ向き、彼に気付かれ無い事を願った。
だけどドアを開けた時に、彼は気付いていたのだろう。
一切迷う事なく、私の前の椅子に座った。
「よぉ!最近、全然会ってくれないけど何で?」
彼がスッと手を伸ばし私の膝に軽く触ると、拒絶反応なのか、ゾワゾワッと嫌な感覚が体を走り、一気に気分が悪くなる。