夏の空~彼の背中を追い掛けて~
「陽人、私には触らないで!」
悪気は無かったであろう陽人の手を、私は思い切り払いのけた。
だけど短気で血の気の多い陽人は、それが気に入らなかったらしく、キッと鋭い目付きに変わり、椅子を飛び越えて私の隣に移動して来た。
「その態度は何?あんなに俺に夢中だったくせに!」
陽人は周りに人が居る事も気にしてない様子で、大きな声で話をする。
「ち…違う!私、陽人の事を好きになった事無い!!」
「へぇ~。好きでもない男とS○○出来るなら、俺とまたしようよ」
「止めて!こんな所で、そう言う話ししないで!!」
嫌がる私に対し、陽人は悪びれる様子も無く、いやらしい手付きで私の膝に触れてくる。
「う゛っ……」
気持ち悪い…。
悪阻と拒絶反応が一気に押し寄せる。
「何それ。吐く程、俺の事が嫌いって事?」
「違う゛っ……。今、彼氏居る…」
「俺だって女居るよ?黙ってりゃ分からないし、良いじゃん!」
「ヤダ!!しない!」
もしこの場に紀香が居たら、何らかの形で助け船を出してくれたんだろうけど、今は教習を受けてる為、それは望めない。
自分の身は自分で守るしかないのだ。