夏の空~彼の背中を追い掛けて~


きっと嫌味や罵倒を浴びせられる…。



でも悪いのは自分なんだから、潔くそれを受け入れよう…。



私は目をギュッと瞑り、覚悟を決めた。



「直方さん!大丈夫だった?」



「へっ?」



予想外の言葉に、思わず目が点になる。



「直方さんが、さっきの人に迷惑してるっぽかったから…。ごめん、お節介だったかな?」



「ううん、有り難う。凄く困ってたから助かった」



「それなら良かった…」



お互いの言葉に、私も広川さんにも安堵の笑みが漏れる。



「違ってたらごめんね。もしかしてなんだけど、直方さんって…男性恐怖症だったりする?」



「え゛っ?」



的を射た質問に、ザワザワと胸が動揺し始める。



男性恐怖症である事を隠すつもりはないけど、その理由を聞かれたら、漣や孝道君にされた事を話さないといけなくなる。



さすがにそこは言えない。



答えに困っていると、広川さんは更に言葉を続けた。



「直方さん学校でも男子と喋らなくなったし、近寄られるとさっきみたいに気分が悪くなるみたいだから、そうなんじゃないかって思ったの」



凄い!元クラス委員だけあって、観察力が違う。





< 273 / 354 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop