夏の空~彼の背中を追い掛けて~
きっと嫌味や罵倒を浴びせられる…。
でも悪いのは自分なんだから、潔くそれを受け入れよう…。
私は目をギュッと瞑り、覚悟を決めた。
「直方さん!大丈夫だった?」
「へっ?」
予想外の言葉に、思わず目が点になる。
「直方さんが、さっきの人に迷惑してるっぽかったから…。ごめん、お節介だったかな?」
「ううん、有り難う。凄く困ってたから助かった」
「それなら良かった…」
お互いの言葉に、私も広川さんにも安堵の笑みが漏れる。
「違ってたらごめんね。もしかしてなんだけど、直方さんって…男性恐怖症だったりする?」
「え゛っ?」
的を射た質問に、ザワザワと胸が動揺し始める。
男性恐怖症である事を隠すつもりはないけど、その理由を聞かれたら、漣や孝道君にされた事を話さないといけなくなる。
さすがにそこは言えない。
答えに困っていると、広川さんは更に言葉を続けた。
「直方さん学校でも男子と喋らなくなったし、近寄られるとさっきみたいに気分が悪くなるみたいだから、そうなんじゃないかって思ったの」
凄い!元クラス委員だけあって、観察力が違う。