夏の空~彼の背中を追い掛けて~
何もなかったみたいに、笑って過ごすなんて、私には出来ない。
だったら、どうすれば良い?
俊ちゃんも私も赤ちゃんも、幸せになれる方法。
考えても考えても、行き着く所は同じ。
翌日も翌々日も考えたけれど、結局答えは見付からない。
だけど繰り返し繰り返し、何度も同じ事を考えるうちに、少しずつ自分の選ぶ道が決まりつつあった。
数日後、私は自分が出した答えを伝える為、俊ちゃんに電話を掛けた。
「俊ちゃん…。私なりに色々考えたんだけど…来週の25日…冬休み1日目だから……その日に病院へ行こうと思う…」
「病院!?まさか、子供を諦めるのか!?」
「うん……。俊ちゃんには夢を叶えて欲しいから、そうするのが1番だと思う…」
「……」
本当は私自身、この答えに納得はしていない。
あの日…俊ちゃんに妊娠した事を告げた日と、同じ事を言うけど、まだ見ぬ子供より、私を愛してくれる人の夢を応援したいと思ってしまった。
「親には俊ちゃんの事は話さない。その代わり…私と……別れて下さい…」
赤ちゃんは私の下した決断により、無理矢理子宮から取り出される事になる。
そんな残酷な事をするんだもん。
幸せになんかなっちゃいけないし、なれっこない。