夏の空~彼の背中を追い掛けて~
赤ちゃんが親を失う代わりに、私も愛する人とサヨナラする。
これが私が出した答え。
「ちょっ……真弥!何勝手に決めてんだよ!?俺は、そんな事されたって全然嬉しくない!!」
初めて私に向かって声を荒らげた俊ちゃんのそれは、酷く悲しげに聞こえた。
「真弥、知ってる?専門学校へ行かなくても、実務経験があれば整備士の資格は取れるんだよ?」
「えっ?」
「つまり、働きながらでも資格は取れる!だから…子供は諦める、別れて欲しいなんて言わないでくれ……」
グッと込み上げてくるモノを押し殺すような声に、私は間違った決断をしてしまったんだと、心の底から反省した。
「俊ちゃん…ごめん…。ごめんね……。もう言わないから…」
私は電話の向こうの俊ちゃんに、何度も頭を下げた。
「終業式が終わったら、真弥の両親に会いに行く。その時、妊娠してる事と籍を入れたい事を一緒に話そう?」
「うん」
「例え殴られても、罵倒されても許して貰えるまで、俺…諦めないから!」
「うん。私も…許して貰えるまで諦めない」
「おぅ!2人で一緒に、難関を突破するぞ?」
「うん。分かった」
この夜、私は数日振りにグッスリと眠に就く事が出来た。