夏の空~彼の背中を追い掛けて~
スーーーッ ハァーーーッ。
私は涙声を隠す為大きく深呼吸をし、気持ちを落ち着かせてから話を切り替えた。
「あのさ…お父さん。××市の○○斎場って知ってる?」
「あぁ」
「今日の19時、そこで俊ちゃんのお通夜があるんだって。紀香の友達がバイクで迎えに来てくれるって言ってるんだけど…行っても良い?」
「バイクは危ないから、ダメだ!お父さんが送る」
「有り難う、お父さん!」
私は父の部屋を出て、キッチンに居る母へ、今夜俊ちゃんの葬儀へ行く事を話した。
すると、お葬式でのマナーを知らないだろうからと、母も一緒に行く事になった。
私は食べたくもない夕飯を無理矢理胃に押し込め、斎場へ行く前に亜紀の家に連れて行ってもらった。
と言うのも、昨日泣きすぎたせいで目はボテッと腫れ、クマも出来ている。
化粧をすれば、それを隠せるかも知れない。
だけど、私は化粧をしないからメイク道具を一切持っていない。
そこで、いつも化粧をしている亜紀に何とかしてもらおうと、会いに行ったのだ。
「亜紀、化粧で誤魔化せそう?」
「大丈夫!!私に任せて♪」
そう言うと、亜紀は楽しそうに私の顔にメイクを施した。