夏の空~彼の背中を追い掛けて~
「こんなもんでどうかな?」
数10分後、満足気な顔で亜紀が手鏡を差し出す。
私は鏡に映った自分を見て驚いた。
「凄い!!ちゃんと隠せてる♪でも葬儀へ行くには、少し派手じゃない?」
「そうかな?大丈夫だと思うけど?」
「もう少しナチュラルに仕上がらない?」
「う゛ん…。ナチュラルだとクマが綺麗に隠れるかどうか……。まぁやるだけやってみよう!!」
「有り難う、亜紀!!」
私は化粧を落とし、再度亜紀にメイクを施してもらった。
「はい、完成!真弥、これならどお?」
数分で終わったメイクは、ナチュラルに仕上がっている。
多少、クマは消えてない感じがするけど、最初の濃くて派手なメイクより断然良い。
「亜紀、有り難う!今度お礼するからね!!」
私はゆっくりする暇もなく、急いで亜紀の家を後にした。
自宅へ戻ると制服に着替え、両親と××市へ向けて出発する。
昨日でクリスマスも終わったと言うのに、人も車も予想より多く、時間内に斎場へ着くのは難しい。
焦っても仕方ない。
ボンヤリと、流れ行く外の景色を眺めていると、クリスマスの余韻を楽しむ恋人達の姿が目に入る。