夏の空~彼の背中を追い掛けて~
嬉しそうに手を繋いだり、肩を抱いたり…。
私も俊ちゃんと、こんな風に街中を歩きたかったな…。
だけどそれは、どんなに望んでも叶う事のない、儚い夢。
俊ちゃん、どうして先に逝っちゃったの?
ずっと傍に居て欲しかったのに…。
急激に涙が込み上げ、視界が霞む。
ダメダメ!!今泣いたら、斎場へ着く前に化粧が崩れてしまう。
私は両親に隠れて、コッソリ涙を拭った。
予定より大幅に遅れて斎場へ着くと、既にお通夜は終わっていた。
だけど、○○工業生を初め、○○商業高校や○○高校の制服を着た人達がロビーに沢山残っている。
母が同伴とは言え、男の人が多いからビクビクして、挙動不審になってしまう。
私は誰とも視線が合わないように下を向き、母と受付を済ませて会場へ歩みを進めた。
篠栗家の人達は控え室へ移動しているのか、そこには誰も居ない。
母の仕草をチラチラ盗み見ながらお焼香をしていると、背後から声を掛けられた。
「真弥さん?」
えっ?
振り返ると、俊ちゃんのお母さんと男の人が静かに歩み寄って来る。