夏の空~彼の背中を追い掛けて~
「俊介の父です。本日は俊介の為に来て頂き、有り難うございます」
うわっ!!俊ちゃんのお父さん!?
背は低めで想像とは全く違うけど、顔立ちや雰囲気は良く似てる。
「初めまして、直方です」
母がお義父さんとお義母さんに頭を下げたので、私もそれに習い頭を下げた。
「直方さん…。俊介が真弥さんを妊娠させてしまい、本当に申し訳ありません」
今にも土下座しそうな位、お義父さんは頭を深く下げる。
「篠栗さん、妊娠したのは真弥にも責任はあります。ですから顔を上げて下さい」
「いえ、悪いのは俊介です。子供にも会わないまま先に逝くなんて…」
涙をボタボタ落としながら、お義父さんは膝から崩れるように床に座り込む。
その姿に胸をギュッと締め付けられ、私はお義父さんと向き合うように床に正座した。
「お義父さんごめんなさい…。私が妊娠さえしなければ…。会う約束をしなければ…俊ちゃんは……俊ちゃんは……」
ずっと我慢していた涙が一気に溢れ出し、唇を噛み締めてもそれは止まらない。
「ごめ…なさ……。ごめ……なさい……。…っ……」
ただただひたすら謝る私に、お腹をチクチクチクチクと針で刺すような痛みが襲う。
『ごめんね。ママが泣いちゃったから、赤ちゃんも心配になったんだね』
私は赤ちゃんに話し掛けるように、そっとお腹に触れた。