夏の空~彼の背中を追い掛けて~


「俊ちゃんは、沢山の人に愛されてたんだね」



産まれてくる赤ちゃんにも、皆に愛される子に育って欲しい。



ううん、そう言う子供に育てなきゃ!



「俊ちゃん。もっと話していたいけど、両親が待ってるから行くね。また来月も会いに来るから」



私は墓前に両手を合わせ、両親が待つ駐車場へ戻った。



それから3ヶ月後の6月半ば。



私は俊ちゃんにそっくりな男の子を出産した。



「おめでとう」



「お疲れ様」



両親を始め親戚や友達、沢山の人がそう声を掛けてくれた。



出産するまでには、本当に色々な事があった。



だけど、こんな風に暖かい言葉を掛けてもらい、私も赤ちゃんも幸福者だ。



これから子育てをする中で、困難な壁に突き当たる事もあるだろう。



泣きたい日もあるだろう。



けど私は、後ろは振り向かず、前だけを見て進んで行こう。



どんな暗闇でも複雑な迷路でも、必ず希望の光と出口があるように、乗り越えられない壁なんてないのだから。





END
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