愛される気持ちなんて私は知らない。



「はーい!!お待ちどうさま〜」


恵美さんが運んできたのは、湯けだってるおいしそうなオムライス。


「おいしそう。いただきます!」


卵は半熟でふわふわしててとろけそう。
玉葱が苦手な私のために、玉葱抜きの中にあるチキンライスはホッとしちゃう味。


「ん、おいしい。」


久しぶりに食べる信さんのオムライスに上がる口角が抑えられない。


「やっぱりえくぼは紅葉(モミジ)さん似よね。笑った顏なんてそのままじゃない。」


カウンターに肘をついて見ていた恵美さんが言う。

本当だな、と信さんが相槌を打ちながらフライパンを操る。


「どんどん似ていくよ。あのヒトに。」


少しお父さんの顏に影がさしたのは、お母さんはもう、いないから。




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