愛される気持ちなんて私は知らない。
お父さんは自分が一番悲しいはずなのに、私が寂しくないようにたくさんの愛を注いでくれた。
お父さんも悲しいでしょ?と尋ねた私に、自分はあの幸せな2年間の思い出があれば充分だと、そう言って微笑んだ。
お父さんのお母さんへの溺愛っぷりは、お父さんに一目惚れした私には苦しいところもあっけど、認めてた。
なんでも研究所のマドンナと言われた10歳も年上のお母さんに毎日毎日しつこく付きまとったらしい。
だから、
お父さんが悲しくないわけないんだ。
私のことを思って、
気丈な振舞いをしてくれているんだ。
もっともっと。
―――お父さんの事が大好きになった瞬間だった。