愛される気持ちなんて私は知らない。



「えくぼ、ケチャップ付いてる。」


お父さんが綺麗な細い指で私の口元をぬぐった。

細められた瞳からは娘に対する愛情と、どこか遠くを懐かしんでいる様。


―――再婚したら、いいのに。



たまに私とお母さんを重ね見るお父さんに、そんなことを思ってしまう。


きっとお荷物なんだろうなと考えると、みるみる気持ちが沈んでゆく。



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