愛される気持ちなんて私は知らない。



「えくぼ?」



名前を呼ばれて上げた顏をすぐ俯かせた私に心配そうに声をかけてくれたお父さん。



「ただいま」
頬がひきつるのを感じつつも、なるべくな笑顔でそう返事をした私。



このヒトの事を考えながら歩いていたらいつのまにか自宅についていたみたいだ。



「――おかえり。」



そう笑うお父さんの顏に高なる胸に、自嘲する。



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