愛される気持ちなんて私は知らない。
「やっぱりえくぼの笑窪はこの世で一番かわいいな」
――そう自分の頬にも笑窪を深く刻む父を愛しさを超えて憎らしくも感じる。
私の名前は井本 えくぼ。
亡くなったパパが私につけた名前。
名前の由来は、パパがお母さんの笑窪がとても大好きだったから。
バカップルみたいな理由だけど、私は自分の名前をそれなりに気に入っていた。
―――目の前にいるこのヒトが私のお父さんになるまでは。