もらう愛＝捧げる愛

「仁科さん…でしょ?」


「あ…。あぁ…ハイ。よろしくお願いします」


ぎこちなく笑って見せると、緒方くんはパソコンの電源を入れて、あたしの左隣に座った。


「仁科さん」


「ハイ?井上主任」


「緒方くん、医療事務はできるらしいけど以前勤めてた病院とは少し勝手も違うだろうから、色々教えてあげて?」


「わかりました」


ヒゲが濃くて牛乳ビンの底みたいな眼鏡をかけた、いかにも事務人間の井上主任は、自分の仕事のペースを乱されるのが嫌い。


だからって、あたしに緒方くんを押しつけなくても…?


まぁ…でも。


この子かわいいから…ちょっとお得…?


なんて、上っ面だけでも仕事ができなきゃ、ね…。