もらう愛=捧げる愛
「あの、仁科さん?」


「…ハイ?」


柔らかく透き通った緒方くんの目に、一瞬返事が遅れてしまう。


うん、一瞬。


「ボク、左利きなんで、そちら側にパソコン寄せてもいいですか?」


「え…?」


「左手で書類をめくりたいんで、パソコンを右に。いいですか?」


「あ…ハイ。どぞ」


あたしの返事を受け取った緒方くんはパソコンを右側、あたしの方に寄せて置く。


あたしは右利きだからパソコンは左側。


だから。


時々肘がぶつかりそうになるくらい、近い。


…って。


近いよッ!!


見慣れない左利きの動作にも見入ってしまって、あたしの仕事はおざなり。


反して緒方くんは教える間もなくテキパキと仕事をこなしてく。


なんで…。


あたしペース乱してんだろ…。
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