もらう愛=捧げる愛
「全く…。初音も初音だけど、堤さんもつくづくだねぇ」


「でしょ?不倫、裁判、離婚なんて労力、あたしには持ち合わせてないもん」


「…そこが問題じゃないと思うけど。じゃ今は“お友達2人”って事?」


「うん。ウチの星野課長と薬局の多田さんなんだけど。でも正直、キツイなぁ…多田さん」


「だーかーら、想ってもない人とそーゆー関係持つの、やめなよ?」


「言ってるでしょー?あたしは間違った結婚はしたくないの。いろんな人知って、ちゃんと正しい結婚がしたいだけ」


あたしはトイレの鏡の前で自慢の栗毛色の巻き髪をくるくるっと指で巻きながら、いつものセリフを繰り返す。


そう。


間違った結婚は、イヤ。


あたしの母親は2人の男に捨てられた。


今の3人目の男と縁が切れるのも、きっと時間の問題。


あたしの母親は自立を知らない。


男に寄りかかって尽くすだけ尽くすけど、それが重いっていつもゴミのように捨てられる。
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