もらう愛=捧げる愛
「初音さん?」


「ん?なぁに、ハルくん?」


「今晩、つき合えない?」


…今晩。


仕事が終われば、あたしはまた、多田さんに縛られる。


「今日は…」


机の中から鈍いバイブ音。


メールの着信を見ると、予想通り多田さんから。


“今晩は薬局の飲み会だから会えない。課長と会うなよ。アイツの車には、乗るな”


今晩…。


今日の夜は多田さんから解放される…の…?


「初音さん?」


「…ん?あぁ、今日なら大丈夫。この前の約束、今日はあたしにご馳走させてね?」


「うん。良かった」


いつもは終わらなければいいと思っていた仕事。


なのに、今日は早く5時を迎えたい。


ハルくんは。


あたしの光。
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