肩越しの景色
「栢原くん、お昼一緒に食べない?」
と、数人の女子が寄ってくる。
何度か、有無を言わせぬこの集団に
圧されて食べた事はあるが
こちらが聞いてもいない事を
ベラベラと捲し立てる。
(これで質問なんかされたら最悪だ、
根掘り葉掘り聴取される。)
答えないけど...
全く行き交わない会話で何が楽しいのか...
分からないし、分かりたいとも思わない。
ただ、早くチャイムが鳴るのを待つ。
(ふぅ)と息をつく。
「ごめん、今日は無理」
(今日"も"だけど)
と心中で毒づいて歩き出す。
後ろに戻っても、前に進んでも
重い足取りは比例。
自販機の前で、いつも買うコーヒーを押す。
その下の段に"白桃"のパッケージが目に入った
何となくお金を入れ、ボタンを押す。
(白米に合うのか?コレ)