肩越しの景色
(白)×(灰)
ホントに教室まで来た...
その顔を確認して引き攣った私の頬。
(ウワッ..只でさえ目立つのに!
この人!!)
呆気にとられながらも、口は閉じない女子達の声。
(ですよね...私だもんね...)
いたたまれない空気の中、彼の元まで足を運ぶ。
後ろも振り返らずにドンドンと廊下を進む栢原君の
後を付いていく。
立ち止まったのは”中庭”
あまり使われてはいないその場所に
少しの怖さと、誰にも二人で居る所を
見られずに済むという
安堵の入り混じった矛盾した
感覚に囚われる。
落ち着かない気持ちでキョロキョロと
周りを窺う私に
「座れば?」と
ベンチに座る彼からの声。
落ち着かない気持ちも手伝って
少しの間隔を空けて腰を下ろす。
それと同時に硬質な冷たい箱が
手の平に転がってきた。
(白桃??)
『え?』
「やっぱ、合わないよな?弁当には..
無理に飲まなくてもいいから..」
私にくれた物だと認識して、
少し嬉しくなった。
「あ..ありがとう..」