肩越しの景色
雨色
「あっはははは」
凄い正直なんだ、栢原くんって。
巧い言葉で、取り繕ったっていいのに。
突然笑い出した私に驚いた表情をみせる
彼が気まずさを湛えた瞳をこちらに向ける。
『あのさ、ここは普通怒るとこじゃない?
"そんな理由で"とか、"バカにしないで"とか』
まぁ確かに・・
でもなんでか、
「いいよ別にお昼食べる位、
その方が休まるんでしょ?」
と、いうと再度目を見開いた彼が
ふっと、笑い
『変なヤツ』と呟いた。
「あっ、ジュース代...」
『いいよ、おごり。チョイス微妙だし。』
「ありがと。白桃ってね...
キライじゃないよ?私。」
『ふぅ~ん...やっぱ変なヤツ』
緑の香りを運びながら
頬をなぜていく風が
'スン'と鼻の奥を擽った。