暴走族と4才児!~second~
私の顔に総長らしき人の拳が当たる、まさに直前。
その手を掴んで止めてくれたのは、
「奏斗さん……」
だった。
「理央奈ちゃん、こっち!!」
「っ、忍君?!」
呆然と奏斗さんを見ていた私の腕を掴んで引っ張ったのは、忍君だった。
「理央奈ちゃん、平気?怪我はない?」
心配そうな顔で私の体を確認する忍君。
「…うん、大丈夫だよ」
どうして私、奏斗さんを選んだ方が楽かもなんて、一瞬でも思ってしまったんだろう。
たとえどんなに辛くても、私はやっぱり忍君が好きだ……。
「私は大丈夫だから。心配しないで」
ニッコリと笑ってそう言うと、忍君は目を見開いて私を見た。
「大丈夫…だから、心配しない
で……?」
「……忍君?!」
忍君は私の言葉を繰り返すと、突然頭を抑えて倒れ込んでしまった。
「忍君?!忍君!!」
私と忍君を見て焦った奏斗さんが、一撃で総長らしき人を倒すとケータイで救急車を呼んでくれた。
「おい、どうしたんだよ忍!!しっかりしろ!!」
「忍君!!」
私と奏斗さんの忍君を呼ぶ声だけが、部屋中に響きわたっていた。