暴走族と4才児!~second~
お医者さんが私を案内したのは、使われていない病室だった。
「私は、忍が小さい頃から忍の担当医だった寺坂といいます」
「あ、佐藤理央奈です」
「君のことは、小さい頃の忍から聞いていたよ」
懐かしそうに目を細めていた寺坂先生は、私の方を見ると言う。
「忍が君と離れてから、どんな人生を過ごしていたかは知っているね?」
「・・・はい。急性ストレス障害だった、って」
「そうなんだ。急性ストレス障害は、治る精神病だ。けれど今回、忍はストレス障害の症状を引き起こして倒れたんだ」
「えっ・・・?」
「忍は最近、あまり調子がよくなかったんだ。そして今日、フラッシュバックを起こして倒れてしまった。忍の担当医として、私は君に酷なことを言わなければならない」
「酷なこと・・・?」
寺坂先生は、つらそうに顔を歪めて言った。
「もう、忍に関わらないで欲しい」