暴走族と4才児!~second~
奏斗side
2人が出て行った扉を呆然と眺める。
理央奈を攫っていった忍は、まるで童話に出てくる王子のようだった。
「奏斗さん・・・」
幹部の奴らが心配そうに俺を覗き込んでくる。
「なぁ・・・さっき忍さ、たとえガキの頃から慕っていた奏斗さんでも、って言わなかったか?」
「え?言いましたね・・・」
「・・・ははは!!」
急に笑い出した俺に、どうすればいいかわからず戸惑う幹部の奴ら。
「忍のやつ・・・思い出したんじゃんか」
俺とのガキの頃の記憶をなくした忍が、思い出した。
忍は、自分の過去に蹴りをつけて理央奈を攫っていったのだろう。
「そんなの・・・適うはずねぇわな」
俺は、泣きながら笑った。
喜びと、悲しみと・・・複雑な気分で、泣きながら笑った。
「幸せにな・・・」