薔薇の花嫁



慌てて首に手を


確かに花びらの形をした小さな痣が首筋にある。


「それが承諾の印。私の花嫁になる」


「う、嘘よ!私、貴方なんか知らない。花嫁なんて…ありえない」


彼は私を見つめ


「怒ってる君も美しいアナベル。頬が薔薇色に輝いて」


優しく頬を撫でる。

それだけ…撫でられただけなのに怒りは消え、漆黒の瞳に吸い込まれそうに。



「毎夜君を呼んでいた。君は近くまで来ていたのに私に気づかず戻って行った。今宵満月の力に導かれてやっと私の前に」


「!!!……ゥゥン」


いきなり唇を奪われた。


離れようとするんだけど力が入らない。


「アナベル…愛してる」


彼の唇はいつの間にか花びらの痣に口づけている。


「二人で行こう」


「…何処へ」


「君の行きたい所へ…時間は永遠にある」


永遠の時間?


何とか力を振り絞って彼から離れ


「あ、貴方は誰?」


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