薔薇の花嫁



「私の名前か?名前が何の意味をなすんだろう。しかし君が呼びたいなら…その甘い声で呼んでくれるなら…ギデオンと」


「ギデオン?」


「そう。もう一度呼んでくれ、君の声で」


催眠術にかかったみたいに


言われる通り


「ギデオン」


「アナベル」


再び痣に口づけを。


「いい香りだ君は。咲き始めたばかりの薔薇の香り。処女(おとめ)の初々しい香り。私が君を咲き誇る気高い薔薇にしてやろう」


今度は唇に…




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