薔薇の花嫁
「アナベル、起きなさい」
「ゥ…ゥゥン、ママおはよう」
「おはようじゃないわよ。早くしなさい」
「……」
何だか体が気だるい。
よく寝たのに。
あら
「ママ」
「なあに?」
「この薔薇、ママが?」
「いいえ、知らないわよ。貴女が自分で切ってきたんじゃないの?」
「……」
ベッド脇のテーブルにピンクの薔薇が一輪花瓶に。
私が挿したのかしら?
夕べそういや庭に出たな。
急いで着替えを済ませ学校へ
またいつもと変わらぬ日常
家に帰って
あら朝には蕾だったピンクの薔薇が綺麗に咲いてる。
その薔薇をぼんやり見つめ
「アナベル…忘れないで」
えっ?
「愛してる…アナベル」
だ、誰?
あちこち見回すけど…誰もいない。
そ、そうよね。
此所は私の部屋
私一人だもん。
やっぱり疲れてるのかしら?