薔薇の花嫁



「アナベル、起きなさい」


「ゥ…ゥゥン、ママおはよう」


「おはようじゃないわよ。早くしなさい」


「……」


何だか体が気だるい。


よく寝たのに。


あら


「ママ」


「なあに?」


「この薔薇、ママが?」


「いいえ、知らないわよ。貴女が自分で切ってきたんじゃないの?」


「……」


ベッド脇のテーブルにピンクの薔薇が一輪花瓶に。


私が挿したのかしら?


夕べそういや庭に出たな。


急いで着替えを済ませ学校へ


またいつもと変わらぬ日常


家に帰って


あら朝には蕾だったピンクの薔薇が綺麗に咲いてる。


その薔薇をぼんやり見つめ


「アナベル…忘れないで」


えっ?


「愛してる…アナベル」


だ、誰?


あちこち見回すけど…誰もいない。


そ、そうよね。


此所は私の部屋


私一人だもん。


やっぱり疲れてるのかしら?



< 13 / 32 >

この作品をシェア

pagetop