薔薇の花嫁
目が醒めるとそこは私のベッド
夢?
ベッド脇に
青い薔薇!
「…ギ·デ·オ·ン」
夢じゃないんだ。
あの人ギデオン…何処かで会ったことがある。
「あら今日は早く起きれたわね。やっぱりお休みだと目が覚めるのね」
「ママ」
「なあに?」
「ギ、ギデオンって知ってる?」
「ギデオン?知らないわね、誰?」
「あ、うん。知らないならいい」
「おはよう」
「パパ おはよう」
三人揃って朝食を。
朝食が終わって後片付けを済ませ
「あ、ママ」
「うん?」
「私のこの痣って…生まれた時からあるの?」
首筋の痣を指差して
「違うわよ。不思議なのよね、パパ」
「あぁ、あれは確かアナベルが5歳の誕生日だったな」
「そうよ。誕生日パーティーの時に貴女、庭に薔薇を切りに行ったのよ。テーブルに飾るって」
5歳の誕生日
「貴女、薔薇を持って部屋に入って来るなり『ママ、王子様に会ったのよ。私、王子様と結婚する約束をしたの。だから見て!王子様が此処に薔薇を咲かせてくれたの』って首を見せて…そこに花びらの形があったから私とパパは何処かの変質者に襲われたのかと…でも庭には誰もいないし、その」
ママが言いにくそうに
パパが
「キスマークにしたら変な形だからそれでもないし。お前に聞いたら薔薇の棘を刺したら王子様がとか要領得ない話ししかしないから棘を刺した時に何処かでぶつけたんだろうと。そのうちに薄くなっていったから打ち身だと思ってたんだが…たまに紅く鮮やかに浮かび上がって…病院に行ったら別に異常はない、痣だろうと」
「……そうなんだ」
「痣がどうかしたか?」
「あ、ううん、何でもない。今日は鮮やかに浮かび上がってるから…いつからあったのかなって」
「…そうか」