薔薇の花嫁
――
―
えっ?
慌てて見直すと
――
―
…やっぱり私の見間違いだわ。
ギデオンを見ると
「クッククク…」
私が何を見て驚いたのかが分かっているみたい。
…恐い。
「雨が止んだようだな。行こうか」
促されて店を出る。
背中に添えているギデオンの手が…冷たい。
何だか分からない恐怖が心の底から湧いてきた。
家の前で
「アナベル」
「……」
「また今夜逢おう」
軽く唇に触れ…ギデオンは去って行った。
唇に指を触れ
冷たい。
夕べは気がつかなかったけど彼の唇は氷のように冷たい。