薔薇の花嫁
深夜
薔薇の薫りに誘われて庭へ
「モナムール大丈夫か?」
私を抱き寄せ痣に口づけを
それだけで体が熱い。
「お前の香りは今まさに咲こうとしてる薔薇の香りだ。私を誘うような惑わすような」
「ギデオン」
「後二日、後二日で満月だ」
「……」
「どうした?」
「わ、私の…血を…吸うの?」
「……」
「私は…死ぬの?」
「馬鹿な!」
私を睨んで
「お前は私と共に永遠に生きるんだ」
「永遠に」
「そう永遠に。私は何百年一人だった。どの時代にも私の花嫁はいなかった。もう私の花嫁は永遠にいないのだと諦めかけた時にお前に出逢った。幼かったお前は薔薇の棘を刺して泣いていた。私はお前が流した血の匂いに引き寄せられて…お前の指を口に含んだ時、今まで味わったことのない甘さに…お前が堪らず欲しくなった。あのまま連れ去ろうと思ったが、お前は私を見て笑い『貴方は王子様ね。そうでしょう?アナベルの王子様。ねぇ、王子様、今日は私の5歳のバースディなの。おめでとうを言って下さい』と…」
王子様…
――
―
走馬灯のように思い出す。