22歳で逝ったあなたへ
私が、そう言うと、なおは鼻をすすりながら、やっと話だした。
『電話があって、笠井が卒業旅行先の中国で倒れたって。で、もう意識とかないらしくて、ダメかもって。今、日本に連れて帰ってきてるらしくて…今のうちに会わないと、今会わないと、もう無理だって』


私の頭の中は、なおの言葉が、うまく理解できずにいた。
とにかく、なおが言うとおり今しかないらしい。
今、会わないといけないらしい。

私は、なおに、わかったと言い電話を切った。


そして上司に理由を言いにいった。
『友達が…友達が危篤で、もう危ないらしくて…今、会いに行きたいんですけど…』

その言葉を言った瞬間、私の目から涙がこぼれた。
自分が口にした事で、現実なんだと実感したからだと思う。

私は、そのままその場に泣き崩れた。

上司の人から肩を抱かれ、私は、会社の外に出た。


外には、なおがいた。

私達は会社の制服のまま、タクシーに乗り込んだ。


病院に着いたら、もうすでに何人かの友達が来ていた。

笠井は、まだ病院にいなかった。
今、こっちに向かっている…
情報は少なくて。

とりあえず県外にいる子達にメールを送った。
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