22歳で逝ったあなたへ
『みなさーんお待たせしましたぁ!面会OKですので、ええと、こちらに並んでもらっていいですかぁ?で、病室が狭いんで一度にはいれるのは3人くらいです。順番にお願いしまーす』

そう元気に大きな声で、みんなを誘導したのは、笠井の一つ下の弟だった。


大丈夫ですよ兄貴は!と明るく、みんなに声をかけている弟を、私は尊敬した。こんな時にまで頑張んなくても、いいのに。お兄ちゃんの、そばにいたいだろうに…
でも弟は信じているんだと思った。私達なんて死んじゃう、どうしよう、だったのに…自分が恥ずかしかった。

私も信じよう。

笠井はきっと助かる。意識をとりもどす。


そう思っていたら、面会の順番がまわってきた…

私は、なおと、かおりと女だけで3人はいった。


色んな管が通してあり、頭には包帯がまかれ、目にも包帯がまかれていた…。
見慣れない不精ひげだけが生きている証に思えた。

笠井の隣には、笠井のお母さんが座っていた。
私は、おばさんに、意識は?と尋ねた。
おばさんは首を横にふり、泣き腫らした赤い目から、また涙がこぼれ、それをハンカチで押さえていた。
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