22歳で逝ったあなたへ
仕事を終え、なおと葬儀場へ向かった。

今日は仮通夜らしい…


私達が着くと、ゆかが、涙目で、近づいて来た。


抱き合って泣いた…


何も言葉はでてこなくて、笠井の元に歩いて行った。

頭にはニット帽をかぶり、目の包帯もとられ、ヒゲもそられていた。


そこに寝てるのは、いつもの笠井だった。

『笠井…』
ほっぺたを触ってみる。
手を触ってみる。

さっき触った時はあんなに、あったかくて、やわらかかった笠井の手は冷たくて、かたくて…

まるで人形のようだった。

しばらく私は、その冷たい手を、握っていた。


泣きながら、何も声をかけれずに…ただ、手を握り締める事しか、できなかった…


少し落ち着いたところで、笠井の、お母さんに挨拶をしにいった。


『もう少しもってくれると思ったんだけどね…このまま何日か大丈夫って…』

そう言いながらも気丈に、ふるまっていた、笠井のお母さんは、すごいと思った。


あれから私達が会社に戻ったあとも、面会に訪れる人が絶えなかったらしい。
そして、最後の面会者と会い一段落ついたと思ったところで容態が急変。
そのまま息をひきとった。
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