22歳で逝ったあなたへ
でも、こんなロビーのテレビで見るだけなんて嫌だ。
絶対行かなくちゃ。笠井が見える所まで。行かなくちゃ…

なんだか笠井が呼んでる気がした…


『なお、行こう』
私と、なおは手をつなぎ人込みの中を、かきわけて前へ前へ進む。
押しつぶされそうになる。圧迫感がある。

でも笠井の所に行く!!

私達はなんとか、たどり着く事ができた。

通夜は始まり、お焼香が始まっていた。

あたりを見渡すと、いつもの仲間達が、椅子に座らず一番後ろに、みんな立っていた。
椅子は、全部埋まっていた。

私達は、立ち尽くし、笠井の大きな大きな遺影をみつめた。

本当にたくさんの人達が参列していて笠井の人脈のすごさ、笠井の家族のすごさを実感した。

高校のクラスメイトは、ほぼ全員来ていた。県外からも、いっぱい帰って来ていた。

中学の友達、大学の友達。テレビ局でバイトをしていた笠井。テレビ局の人達も、たくさん来ていた。

私達の母校の制服を着た高校生が目にとまった。

笠井の教育実習での教え子達だ。

みんな泣いていた。

でも、私は、ここに向かうタクシーの中で、なおと約束したんだ。

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