22歳で逝ったあなたへ
笠井の声は聞けないけどさ、あたし達、笠井の声はっきり思いだせるじゃない?

だから、こんな時には笠井は、こう言うだろうって頭ん中で笠井の声で考えながら、やっていこうよ。

私が言うと、みんな首を縦にふった。


きっと、それが笠井の言いたい言葉だ。

笠井の声だ。

私達は、みんなでそう決めた。

私の中では、笠井は遠くの携帯もつながらないような所で新任教師として働いている。


そんなふうに思っている。

きっと、この花見は笠井が仕組んだんだろうな。


みんなが心から笑えるように。


そして今年の桜は一枚残らず散っていった。


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