アイズ
 優衣の肩を掴み、肩で息をしている長い髪の少女。優衣はこの少女に見覚えがあった。先程歩道橋の下を仲良く歩いていたカップルの少女だ。

「ダメだよ、自殺なんて」

 少女はそう言って微笑みかける。それを見て優衣はこみ上げてくるものを抑えられなかった。
 本当は止めてほしかった。笑いかけてほしかった。誰かに必要としてほしかった。

「レイコ、人の話は最後まで聞けって教わらなかったのか?」

「あ、セルフィ。どうしよう、この子急に泣いちゃって」

「だーかーらー、人の話聞けって」

「あの、ごめんなさい……」

 優衣が謝罪しようと顔を上げると、少女と目があった。

「えっ……」

 その瞬間優衣は言葉を失った。それに少女が気づき、青年と目を見合わせる。

「もしかして、契約者?」

「ケイ、ヤクシャ?」

「ねぇ、私の目、何色に見える?」
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