*JEWELRY BOX*
付き合わないワケ
付き合わない訳。それを話すにはまず、
"あたし"と"あたしの周りの人たちの違い"
から話さなくてはならない。
あたしの名前は佐藤愛美(サトウ メグミ)
苗字からして、どこにでもいるような
ごくごく普通の女子高生。
さっきも言ったように彰や梓は
お金持ちの家のお坊ちゃん。
実を言うと瀬菜もそうだ。
これから出てくる人物もみんな
"お金持ち"なんだ。
…だからと言ってあたしが
お金持ちのボンボンだと知っていて
みんなに近付いたのかと言うと
そんな訳ではない。
中学時代、家のことや学校のことで
誰も信じられなくなっていたあたしは、
通っていた塾をしょっちゅうサボり
夜になると家を抜け出して遊んでいた。
遊ぶと言っても最初は
本当に何人かで集まって
タバコを吸うわけでも、
お酒を飲むわけでも、
暴力行為や援交をするわけでもなく、
公園で花火をしたり、恋ばなをしたり、
ただただ普通に…そんな程度だった。
あの頃は元々あたしと瀬菜達がいた
悪いことに手を出さない健全な
女子だけのグループと、
彰や梓達がいた男子だけの
いわゆる不良グループは
敵同士という立場にあった。
敵だといっても喧嘩をする訳でもなく
いがみ合うだけ。
暴力的に上からモノを言う奴らに対して
あえて大人な返しをするあたし達。
頭のレベルでは確実に上だけれど、
もし力づくで来られたら勝ち目はない。