*JEWELRY BOX*






『てかそんなことより、やばい…
ト…トイレ行きたい……』






恐怖のあまり、叫びすぎて
ジュースをがぶ飲みしていたせいか、
催してまったようだ。
瀬菜に一緒に行こうと誘っても
梓について来てと言ってもダメで、
結局一人で行く羽目に…。







『こ、こえぇ…』






季節が季節なだけに
ひんやりと冷たい風。
日が暮れて薄暗い廊下。
瀬菜の小学生の従兄弟が描いたという
可愛らしいパパとママの絵にすら
怖くて足がすくむ。






やっとの思いで用を足し、
走って部屋の前までたどり着いた。
映画に夢中な二人を
ビックリさせてやろうと思い、
ゆーっくりとドアを開けると
二人は山場にも関わらず、
恐ろしい顔が映る画面の前で
キスをしていた。






< 9 / 15 >

この作品をシェア

pagetop