恋愛模様【短編】
公園へ近づくと、

子どもたちの声が聞こえてきた。


「あらっマロン~♪嬉しいの~?」


マロンがはしゃぎだす。

リードを引っ張るマロンについて、
公園沿いを歩いていった。



―あっ―


道沿いにある病院から出てきた、
矢崎の姿に気づく。



「あ、」


彼が何かを落としたので、
百合華は、
マロンをつれて
落とした場所へと駆けていった。


拾って見てみると、
保健証だった。


「あ、あの…」


彼は気づかずにスタスタと歩いて行き…


角を曲がって…


「待って、」


百合華がマロンと一緒に追い駆けて行くと、


「えっ、あれっ」


彼の姿はなかった。


「どこ行っちゃったかなぁ…」


見渡しても、
彼の姿は見つからず…



「どうしよう…明日は祝日だし…」



― 知らないけど ―


無愛想に言った彼を思い出す。


― 矢崎くん…
同じ名前だったけど…

…人違いだったのかぁ… ―


百合華は、
保健証に視線を落とした。


「矢崎 玲……玲って名前だったんだぁ。

あ、住所が書いてあるっ」



大事なものだろうしと思い、
百合華は届けてあげようと、
書いてある住所を頼りに彼の家へと向かった。
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