獣恋道-恋はいつでも獣道-
3限目も終えて、あたしは友達と別れ駅前に向かった。
なんとなく今日はぶらりと街を歩きたい。
ちょっと都心まで出てみようか。
大学とあたしのアパートがあるここは東京の郊外だ。
もちろん篤志の家も。ただ、実家は池袋とか言ってたな…。
さすが、お金持ち。
なのに、バイトまでしてほんと出来た男だよ。
あたしなんて、片田舎出身でバイトもしてないし。
「憂さ晴らしに服買っちゃおうかなー」
ショー・ウインドウに映る自分を見てため息がこぼれた。
服装もメイクも背伸びしすぎているように見える。
全然、篤志につりあってないよ…。
「ねえ、お姉さん一人?」
「え?」
ま、まさか…ナンパってやつ!?
人生初めてのナンパに戸惑う。
しかし、振り向いてみると、
「ちーゆきさんっ」
永瀬…英志…。