獣恋道-恋はいつでも獣道-
「兄貴が浮気してんなら、千雪さんもしちゃえばいーよ、
俺と」
「…」
ドクンと確かにあたしの胸は鳴っていた。
それに気づかないフリをしたかった。
だけど、もう遅い…
あたし、英志くんに惹かれ始めてる、
だって、篤志のことなんてどーでもいいとさえ思えそうだ。
「忘れさせてやるから」
そんなこと、そんな瞳で言わないで。
まるで、あたしを求めるみたいな。
「…優しくしないでよ」
精一杯の抵抗。溺れるんならこれぐらいさせてよ?