獣恋道-恋はいつでも獣道-
あたしはフラフラと立ち上がると駅に向かって歩き出した。
池袋に行ってみよう。もしかしたら、会えるかもしれない。
あたしの心を空が映し出したみたいに、夕立が降り注いだ。
最近あたしは濡れてばっかりだ。
「きゃっ」
向こうから走ってきた人にぶつかりあたしは、そのまま転んだ。
あのときは、英志くんが腕を引いて助けてくれたのにね。
お気に入りの白のワンピースがぐちゃぐちゃになった。
「英志・・・どこにいんのよ」
人目も憚らず、泣いた。どうせ、雨で流れるんなら構わない。