恋愛上等 あんたなんか大っ嫌い
「ちょっと、いい?」
放課後、田村君が私のところへ来た。
「話があるからちょっとついてきてくれるかな」
できれば行きたくない。
これをきっかけに面倒ないじめが増えるのは嫌だ。
「すぐ終わるから!ねっ?」
あからさまに嫌そうな顔をしていたのか、断る前に必死にお願いをしてくる。
断れない;
しょうがなく田村君についていくことにして席を立ちあがった。
無言で廊下を進んでいく田村君。
途中、数人の女の子に声を掛けられていたが、すべてまた今度と言って断っていた。
人気のない階段の踊り場で立ち止まる。
「ごめん!!」
いきなりの謝罪;
たぶん、HRのことを言っているのだろう。
こうして謝るくらいなら最初からするなと言いたいがここは我慢して、
「ううん、別に謝らなくてもいいよ」
優しく答える。
「俺、前から花錐さんと話してみたくてさ。優しいんだね」
………確かに女たらしなのは間違いないみたいだ。
ついにこんなダサ子まで手を出すとは;
「これから、美影って呼んでいい?」
ついには呼び捨てか?
なれなれしい奴だ;
「別にかまわないけど;」
「ほんと!?じゃあ、これからよろしくね美影!」
そう言って去って行った。
本当にうざいキャラだなあいつ;
「何してんの?」
「うひゃ!」